ほほえみ
ネットワークニュース
第89号 2008年7月1日発行

 

 「下り坂の時代」を生きる知恵

理事長
田代尚嗣

 少子高齢化による社会は、伴侶を亡くした私たちにも深く関係してきます。そのためには、目の前の現実から目をそらさず、「老い」や「死別の悲しみ」を『事実』として受け入れて生きてゆくことが大切です。その中にこそ新たな出会いや、感動そして思い出を得ることもできると考えるからです。                 (広報)

今日の少子高齢化社会には深刻な問題が内在します。それは六十歳の定年後に20〜30年生きのびることになったことです。一面では喜ばしいことかも知れませんが、否応なく前方には第二、第三の人生が待っていることになったのです。
  この間に老と病と死とがゆっくりとした足どりでやってきます。  その老、病、死の訪れをじっと見つめて生きていくことになるのです。そして、遅くてもこの間に、自分が生きのびる以上、誰でもが配偶者との死別を体験していかねばならないことになります。
  結局のところ、生きのびた者は配偶者をはじめ、親、兄弟、友達などとのたくさんの死別を体験していくことになります。
  つまり、生きのびたすべての者が、今まであったものを喪(うしな)っていく時代なのです。
  仕事もなくなり、覇気もなくなり、体力も衰えていく「老いの時代」「下り坂の時代」を生きていくことになるのです。
  では、このような「下り坂の時代」を楽しく生きる知恵はあるのでしょうか。
  私自身も、もうこの時代であるし、また、たくさんの方々を見てきた経験からこう思うのです。
  そのためには「目の前の事実から目をそらさないこと」だと。
  老化の進行そのものを人為的に完全に制御することはできません。なぜなら「老い」は人間の本質的実存だからです。
  「老い」を受け入れ、ほどよくつき合っていく術(すべ)を自分なりに考え、実行していくことこそ、現実的で理にかなっているのです。
  死別の悲しみは、大事な人を喪った事実を認め、悲しみや怒り、罪悪感などの感情を受け入れるという行動を通してのみ回復できるのです。
  別れはどんな人にもやってきます。目の前の事実から目をそらさず、そこから受ける自分の感情を自分自身で十分に受け入れることが乗り越えるポイントなのです。
  目の前の事実を認めたら、次に体を動かすことです。
  目の前のやるべきこと、やった方がよいことをやることです。
  家事や仕事もありましょう。あるいは趣味の何かでもかまいません。
 とにかく体を動かしどんな小さなことでもやりとげることです。これを実行していけばその内、目の前のことから、近い将来のこと、未来のことに気持ちが移っていき、視野も広がり、日常の判断も正常で正確に出来るようになっていきます。
  「心が疲れたときには体を動かす。体が疲れたときは心を動かす」です。
  次はどうすればよいのでしょう。
  そう、それは心を動かすことです。仕事をしている人であれば仕事以外の、家庭にいる人であれば趣味の世界、ボランティアの世界など、いくつかのちがった世界をもつことです。そこにはたくさんの出会いや感動、喜び、楽しみ、あるいは苦しみなど心を動かさざるを得ないことがたくさんあるからです。
  その中には「新たな愛」の世界も入ります。中高年にとっての結婚は確かにさまざまな障害があります。それを反映してなのか、年間一一〇万人が亡くなり、その内、配偶者を亡くす人は4割〜5割なのに、厚生労働省の人口動態統計によると、再婚した65歳以上の男性は三千五百人しかいません。これに対し、平均寿命が長い女性は約千三百人と男性の半分にも満たない数字なのです。(二〇〇四年度) 
   しかしながら、20代や30代の男女の結びつきではないあり方もあるはずです。
  このようにたくさんの世界で心を動かすことは、人生でのたくさんの思い出をつくることにつながっています。
  現実世界は時に過酷です。 人の心や意味、意義などに顧慮などはしてくれません。皆様も過酷な体験をされ、こうなった以上、物理的世界ではなく詩的真実を抱かねばならないし、それを願っておられるはずです。
   そしてその結果として、あなたの配偶者の命には、大きな力があったことを実感されたはずです。思い出となって、あなたの心を癒し、あなたの心を救ってくれたはずだからです。
   それと同様、心を動かしていく人生でのたくさんの思い出は、あなたの人生を癒し、あなたの人生を救ってくれるのです。
   さまざまな「思い出」や「記憶」は、私たち人間の魂にとって欠かせない大きな糧(かて)だからです。

子供との二人三脚

T・S(東京都)

妻をなくして、この九月で丸三年になります。
  私自身はほほえみのミーティング、談話室、リライフ等、さまざまな行事に参加し周囲の皆様からその都度心のこもったアドバイス、励ましをいただき、一応立ち直ることができました。 しかし、親の立ち直りと前後して、ひとり娘がおかしくなってきました。
  妻が再発したのは娘が小学四年の時でした。亡くなったのは中学一年です。その間、妻は半分入院しており、母親不在の状態がずぅーと続いたのでした。
  娘は中学二年までは普通でしたが、進学のために一番重要な中学三年になって学校に行けなくなり、定期テストも受けませんでした。母親の居ない寂しさが昂じたのでしょう。
  公立高校普通科に進学するためには内申点が必要なので諦めざるを得ませんでした。 その後、おばあちゃんの助けを借りて朝、学校へ送り出してもらい、なんとか卒業できました。高校受験も浪人覚悟でおりましたが、本人が得意とする芸術分野の公立高校に運よく入学することができました。
  これでOKかと思っていたら、高校に一週間通っただけで不登校となりました。八方塞がりの状態で五月の談話室に参加したところ、適切な助言をいただき子供への接し方を変えたら、だんだんに学校へ行けるようになりました。
  娘が回復した暁には同じような立場の方へのケアができればと願いながら娘との二人三脚に励む毎日です。

高齢の一人ぐらし

Y・H

田代理事長の五月号の記事を読みまして、一人暮らしの数が多くなっていることを実感いたしました。
  死亡したときのことなど為になることを書いていただき、参考にさせて頂きます。
  夫が亡くなり早十一年になりますが、まだ淋しく思います。
  これは、もういたし方のないことと思っております。しかし年金を頂き食べるのには困らないので有難いと存じます。
  私は元気な時は総会やミーティング、お話会等へ出席させていただき、大変楽しい日々でございました。この頃は高齢になり外出もままなりません。
  今は、テレビが友の生活でございます。
  姉も亡くなり、もう一人の姉・義理の姉妹・学友二人も皆、認知症になりホームに入っております。
  電話を掛ける人も少なくなりました。皆様も元気なうちに外出し、たくさんの思い出をおつくりになって悔いのない人生をお送り下さい。

  ひとり身のテレビが友で日が暮れる

素直に生きる

T・H

 楽しいときは大勢がいい
 ありふれたおしゃべりをして
 たわいもなくじゃれあって
 流行(はやり)の歌をうたったり
 大きな声で笑ったり
 大勢が楽しい輪をつくる

 嬉しいときは二人がいい
 美味しい紅茶を淹れて
 向き合ってただ黙って
 頷いてくれるだけでいい
 微笑むだけでいい
 それだけで私は嬉しい

 悲しいときは一人がいい
 愛を見失ったとき
 心が傷ついたとき
 会えない人を想うとき
 ただただ寂しいとき
 泣くだけ泣けばいい
 泣きたいときは一人がいい
 一人がいいにきまっている

「ほほえみニュースに投稿を」

T・A

ストレスの多い現代社会においてもっとも大きなストレスは
  @ 配偶者の死
  A 離婚
  B 別居
  C 留置所拘置
  D 家族の死…
  などと、書かれている記事を読みました。
  近年では何事も夫婦単位で、というだけあって夫婦の問題が大きなストレスになっていることが多いのだろうと書かれていましたが、私たちの「ほほえみ」の会員は全員この第1位に君臨しているのですね。
  この会を知り、ミーティング・談話室等のプロセスを経てやっと癒されつつありますが、毎号楽しみしているのは送られてくるニュースです。
  このすばらしいニュースの編集に携わっている陰の人の存在があるからです。勿論、理事長・事務局&会員の方々のご協力あってこそのニュース作りですが、一番の悩みは原稿集めとのこと、皆様の投稿があってはじめて成り立つこのニュース。
  「原稿さえどんどん送って頂けたらレイアウトや編集作業の大変さなんてたいしたことではない」という。
  依頼すると皆様一様に「書けない」という返事とのこと。 ちょっと待って下さい。作文コンクールでも達筆展示会でもないのです。「ひらがな」が書ける私たちはみんな合格なのです。
  まず何を書くかよりも、どう書くかに神経を集中し過ぎているのではないでしょうか。文章にハウツーなんかありません。
  悲しい淋しい涙々々の羅列でもいいではありませんか。字数も短くても長すぎてもそれは編集するに当たり、校正・推敲し原文の骨子をくずさない様に治めてくれます。それが編集者の腕の見せ所ですね。
  拙い私のこの記事を読んで下さり共鳴して下さった方、お一人様が各一編投稿してくださったら と願っています。
  最近とっても苦労している編集者を側面から拝見していて、親しき友人として「僭越」とのお叱りを覚悟の上で訴えてみました。

フレンドリーダイヤル&メール」七月一日から開始

交流の広場委員長  T・N

 期間は八月末までの二ヶ月間です。昨年この企画に参加された方へアンケートを実施した結果「いろいろと癒されるものを得ることができた」と回答され、今後もこの企画の継続を望む方が70%もおりましたが、申し込んだものの一度も交流しなかったという返事もあり、せっかく申し込みをしておきながらもったいないことと思いました。
 期間が長い(二ヶ月)のでいつか連絡してみようと思いながら日は過ぎてしまったのでしょう。
 せっかくのチャンスです。この期間に早くから相手を見つけて内容を充実したものにして行きましょう。どんな形の交流がいいのか定石はありませんから、自己流ごめんでどしどし挑戦してみてください。
 今年も期間終了後にアンケートをお願いします。是非、昨年を大幅に上回る交流実績をあげて「ほほえみに入ってよかったという」声をお聞かせ願います。
 ご健闘をお祈りします。